出会った時、宮彫師だとは知らなかった。
井上さんと出会ったのは、
たしか7年ほど前。
寺でもなければ、神社でもない。
僕が道の駅でコーヒーを売っていた時だった。
何を話したのか、細かいことまでは覚えていない。
ただ、話しているうちに意気投合した。
後になって知った。
井上さんは、宮彫師だった。
木を彫る人。
宮彫師。
寺や神社などに施される彫刻を、
木から彫り出す職人です。
井上さんは高校生の頃、
父と同じ宮彫師の道へ進むことを決めた。
そして高校卒業後、
富山県井波へ修業に出る。
そこで過ごした時間は、5年間。
帰ってから、また始まった。
修業を終えた井上さんは、
父のもとで仕事を始める。
そこで向き合うことになったのが、
井波で身につけた彫りと、
父が受け継いできた後藤流の彫りだった。
同じ木を彫る仕事でも、
そこには違う歴史と、違う考え方がある。
井上さんはその後、
関東を中心に、新潟、伊豆、山形など、
各地の寺や神社、山車や屋台を見て歩くようになる。
誰かが残した彫刻を、
自分の目で見るために。
見る。
木を彫る技術を覚える。
それだけなら、
修業で終わったのかもしれない。
でも井上さんは、
修業を終えてからも見続けた。
線を見る。
影を見る。
木を見る。
昔の職人が残した仕事を見る。
そして、また自分の仕事へ戻る。
GOOD PEOPLE.
井上さんと知り合った時、
僕はそんな経歴を何も知らなかった。
道の駅でコーヒーを売っていて、
そこにひとりの人がやってきた。
話してみたら面白かった。
それが最初だった。
人と人が知り合う時、
肩書きは後からついてくることがある。
宮彫師だから知り合ったのではなく、
知り合った人が、宮彫師だった。
そしてその人は、
何十年も木を彫り続けていた。
そんなことを後から知るのも、
人と出会う面白さなのだと思う。
11月23日。
井上さんがMOTHER.に来ます。
彫刻を見るのもいい。
宮彫師という仕事について、
聞いてみるのもいい。
でも、できれば本人と
少し話してみてください。
会いたいモノがある。
会いたい人がいる。
この人に会える日。
CONNECT 2026
2026.11.23
HIMENOYU MOTHER.