NEVERMIND

NEVERMIND

しばらく自分から何かを発信することをやめていた。それは時代が変わったからとか、歳をとったからという意味のわからない言い訳を自分に対してしていたからだ。昔は、ペン一本で世の中を変えてやるなんて思った時もあった。

 

若さという、未知のエネルギーのようなものは失ったのかもしれない。けれども、この意識の中で燻るようなモヤモヤする気持ちは何なんだろうか。最近特にその燻るようなどんどん鎮火していく炎みたいなものがまたチリチリと音を立てて燃え始めている。焚き火で言えばもう火が消えそうな瞬間に枯葉をぶっ込んで再燃させるかどうかの瞬間だ。

 

いろいろな事があって、「またあいつ何か言ってるよ」そう言われるのが怖かった。そしていつの間にか人目を気にしたりするようになった。人生において自分に自信のない冬のような季節は誰にでもあるし、誰もが経験すると思う。しかし、いつの間にか僕は枯葉を探し始めているようだ。

 

そんなふうに思わせるきっかけはいつもちっぽけな事だ。本当についさっき何気なくYouTubeで見たミュージックビデオがスイッチになった。NIRVANAは一番好きなミュージシャンだが、Kurt Cobainを自殺に追いやったきっかけではないかと思うSmells Like Teen Spiritのミュージックビデオは最後まで見ることができなかった。あれから何十年も経って初めて最後まで観た。その瞬間に僕の意識の中で何かが変わるような音がした。

特に既成の社会や会社に対する意味のわからない規則や習慣には僕は馴染めない。馴染めないからその中にいる事が苦痛になる。何かで読んだか見たか忘れてしまったけれど、そして誰が言ったのかも忘れたがこの言葉が心に引っかかって仕方がない。

 

満員電車から降りて、地平線を探しにいくんだ」その一言は僕のような人間達には非常に強力に作用する。

 

このHIMENOYU MOTHER.は僕のやりたい事の一部でしかない。だから会社という枠を超えて活動する。この施設は、例えば常に量子もつれのような状態でその存在が何なのか、観測者であるお客さんが実際に見た時に初めてその状態が決まる。温泉なのかキャンプ場なのかカフェなのか洋服屋なのか。Instagramで人気の店になりたい訳じゃなく、この場所は地平線を探しているあなたが立ち寄る為の存在になりたい。

 

執筆 カトウマサチカ

ブログに戻る